【書評】叶恭子『トリオリズム』 書籍とは他人の人生そのものだと再認識できる本

『トリオリズム』を読みました。

「人生を変えた本」をテーマに有名人へインタビューする動画が、YouTubeチャンネル「東京の本屋さん」にアップロードされています。

その中で経済学者の成田悠輔さんが、人生を変えた10冊に『トリオリズム』の名前を挙げてました。

 

 

 

成田さんの説明にインパクトがあったので読んでみました。ちょうど、Kindle Unlimitedにラインナップされていました(2023年1月時点)。

 

『トリオリズム』とは?

 

ユニット「叶姉妹」の姉役である叶恭子さんによって書かれた自伝哲学本で、セックス・愛・お金の関係性が主に書かれています。

「トリオリズム」はフランス語で3Pを意味します。

ですが本文に3Pの話はほとんど出てきません。「やったことあるよー。こんな感じだったよ。愛を感じたよ」とラフに触れられていました。

過激なタイトルですが、むしろ思考の丁寧さ、文章の読みやすさに感心しました。よっぽど愛とお金について考え尽くしている人以外は、なんらかの発見が必ずあるでしょう。

 

『トリオリズム』のあらすじとポイント

 

内容の割合としては、

・30% 著者の私生活・体験談

・30% セレブの生き方について

・40% 性行為・セックス・メイクラブの哲学、教訓、コツ

となっています。

LOVEはお金で買えるのか

 

7章のタイトルは「LOVEはお金で買えるのか」です。章のタイトルから直接的です(笑)

結論は、「買える」

メイクラヴの快感と財力の快感は、とても似ています。

叶恭子. 叶恭子・トリオリズム 完全版 (小学館文庫) (p.50). 小学館. Kindle 版. (引用)

と章の初めに書かれています。成田さんも動画で仰っていましたが、こんなこと書く人あまりいないですよね。

この女性を手放したくないと思った時に、信じられないほどのお金を貢ぐ男性がいますが、それは〝貢ぐ〟という単純な言葉で片づけるべきではないとわたくしは感じています。なぜなら、お金は、ある意味で愛の表現のひとつ。

叶恭子. 叶恭子・トリオリズム 完全版 (小学館文庫) (p.53). 小学館. Kindle 版. (引用)

つまり、人生をかけて稼いだ大切なお金を差し出す行為は、愛そのもの。

ちなみに財力を上回る快楽は美しさで、グッドルッキング・ガイ(イケメン)からのお花は格別のエクスタシーだと書かれています。

 

メイクラブのセンスを見極める

 

恋人との良好な関係に、良いメイクラブは必要不可欠です。もし体のセンスが合わなければ、必然的に関係は悪くなるでしょう。メイクラブの相性は、ひとりの男性と最低3回してみないと分からないと書かれています。1回目はお互いに緊張していて、ポテンシャルを十分に発揮できません。新鮮味が興奮を呼び、未知の快楽を感じることは否定しませんが、男性は想像より繊細です。空回りしてしまうこともしばしばあります。

2回目は前回の反省を生かして、お互いの好みをさぐる回。3回目は最終試験で、ベストパフォーマンスを尽くす。ここで落第なら、相性が悪いということになります。

 

男性の性質・扱い方

 

男性は、ゲイではない限り、女性を見ると少なからず無意識のうちにセックスする時のことをイメージすることでしょう。これはどの国の男性だってまったく変わりありません。

叶恭子. 叶恭子・トリオリズム 完全版 (小学館文庫) (p.116). 小学館. Kindle 版.(引用)

2つの生き物が1つの身体に収まった生き物。それが男性です。男性と男性器は別の生き物としての性質を持っています。男性器の習性は、

1.心と反して急に活動する。

2.持ち主の女性の好みと、男性器の女性の好みが同じとは限らない。

3.女性の美しさより、身体的な快楽を一番に考えている。

4.ひとりでも多くの女性に射精がしたい。

などが挙げられます。

好きな女性とベッドの上にいても、緊張して思うような結果が得られないこともしばしばあります。また、オス度の高い男性は、好きではない女性の体であっても、見るだけで興奮してしまいます。その女性に好意があるのではなく、ひとりでも多くの女性に射精がしたいだけです。ただそれは男性器の気持ちであって、持ち主の気持ちではありません。

 

 

感想・まとめ

書かれていることは重めで理解しがたいのですが、文体が軽いためサクサクと読めます。まるで文学かのように、叶恭子さんの話に入り込めました。作中に登場するセレブなパーティには縁がありませんが、「たしかにねぇ」と不思議と理解ができます。レビューを見てみると、叶恭子さんの文章はとても読みやすいと書かれていました。

ほとんどの人が体験したことのない場面がたくさん登場します。その特殊な体験を一般的に使える哲学にかみ砕く、叶恭子さんのセンスとスキルに脱帽です。特に女性におススメです。恋人と上手に付き合いたい人は読んで見てください。損はしません。

 

『トリオリズム』の情報

著者:叶恭子

出版社:小学館文庫

発売日:2008年1月11日

ページ数:198ページ

 

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